先進国の銀行はリスクを減らそうと、アジア債券を削減、あるいは全廃するとのことです。
シングルBの格付けでは買い手がいないようです。
[香港 12日 ロイター] - アジアの債券価格が5月末から急落しており、トレーダーはこれが総崩れに転じかねないとの警戒感を抱いている。金融システムの安定を意図した世界的な低金利政策が、アジア市場をかえってショックに対して脆弱にしている可能性もある。
焦点:下落に転じるアジア債券市場、流動性低く総崩れの恐れも (ロイター)
ポートフォリオでも新興国株式、新興国債券の下落はかなり厳しいものがあります。先進国株式の下落がそうでもないのは、米国株式が崩れていないからでしょうか。それ以外は総崩れのような状況で、投資としては危険度が高まってきています。
5月末にアジア債券に何が起こっていたのか、もう一つ、別のロイターの記事のリンクから引用します。
[シンガポール 29日 ロイター] - 29日のアジア債券は、米連邦準備理事会(FRB)による資産買い入れ早期縮小観測を背景に米国債利回りが急上昇したことで、大きく売られた。インドネシア中銀は異例の債券買い介入を実施した。
市場関係者によると、高利回りのアジア債券に今まで巨額の買いを入れてきた外国人投資家がこの日の売りを先導した。この結果、インドネシア、マレーシア、フィリピン、韓国、オーストラリアの債券市場が売りに押される展開となった。
豪債券相場では、10年債利回りが2カ月ぶり高水準の3.48%に上昇した
アジア債券に大量の売り、インドネシア中銀は異例の介入(ロイター5月29日)
先進国は総じてゼロ金利/低金利状態。対する高利回りのアジア債券市場が崩れているということです。オセアニア投資は利回りが高くて有名ですが、代表的な豪ドル円は105円⇒90円~92円くらいまで下がっている状況です。いわゆるキャリートレードの手仕舞い/巻き戻しが発生しているようです。
豪ドル円が90円ならまだ大丈夫だと思いますが、ここから更に大暴落して70円~80円くらいになると国内投資家でも人気のオセアニア絡みの投資信託が厳しくなると思います。
アベノミクス上昇相場は約半年で変調、米国の金融緩和だけがまだまだ続き、日本の金融緩和はクエスチョンマーク、世界経済を引っ張るとされたアジアは総崩れ。リーマンショックみたいな象徴的なビッグイベントがないのですが、FRBの思惑を巡る予測/不確定要素から金融市場全体が崩壊しかけているという新しい形の暴落なのかも知れません。
それにしても、大手の経済ニュースはなんか変な扇動が含まれているのか、本質を見ることが難しくなっているような気がします。このロイターの記事についても、『コインの両面、ただ良い側面がある。過熱取り除く』というのは何が良い側面なのか分かりませんでした。無理やりな”持ち上げ”にしか思えません。ここはアジア債券の流動性が枯渇しているリスクを事実として伝えるべきなのに、なぜか曲げてきます。
個人的には経済ニュースにコラムが含まれているときは書き手のバイアスはあまり見ないようにしています。基本的に経済ニュースは第1パラグラフしか信用できる状態ではないと思い、引用も第1パラグラフ主体です。
また、こういうマイナス面を十分に周知せずに、唐突に特定の国の投資を薦める放送局/新聞社が現れる可能性があります。よく、ご自分で情報を集めてから判断されたほうが良いと思います。